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2020年 05月 30日

図解でわかる外壁タイルの「打診調査」浮き・落下を防ぐための基礎知識

※本記事は2026年1月10日に最新情報へ更新しています。

 

図解でわかる外壁タイルの「打診調査」。浮き・落下を防ぐための基礎知識

マンションやビルのオーナー様、管理組合の理事様にとって、大規模修繕工事は非常に大きなイベントです。

 

その中で必ずと言っていいほど耳にする「打診調査(だしんちょうさ)」という言葉。

 

見積書に記載されているものの、「壁を叩くだけで何が分かるの?」「今のままでも綺麗に見えるのに、本当に費用をかける必要があるの?」と疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

 

結論から申し上げますと、打診調査は建物の「健康診断」であり、所有者の「法的責任」を守るための最重要工程です。

 

これをおろそかにすると、タイル落下事故による人身被害や、修繕後の再剥離といった深刻なトラブルに直結します。

 

この記事では、元となる情報を大幅に拡充し、専門的な知識がない方でも「なぜ打診調査が必要なのか」「どうやって行われるのか」「費用の適正ラインはどこか」を深く理解できるよう、徹底的に解説します。

 

目次

  • 1. 打診調査とは?どんな調査なのか
  • 2. なぜ大規模修繕工事で打診調査が必要なのか
  • 3. 打診調査で分かること・分からないこと
  • 4. 打診調査の具体的な実施方法と流れ
  • 5. 打診調査のタイミングと実施時期
  • 6. 打診調査後に行われる補修・修繕内容
  • 7. 打診調査の費用目安と見積りの考え方
  • 8. 打診調査でよくあるトラブル・注意点
  • 9. まとめ|打診調査は安全と修繕品質を左右する重要工程

打診調査とは?どんな調査なのか

 

打診調査とは、一言で言えば「音の響きを利用して、目に見えない壁の内部異常を探し出す技術」です。

 

人間の耳と指先の感覚を研ぎ澄ませて行うこの調査は、ハイテク機器が進化した現代においても、最も信頼性の高い調査方法として建築現場で採用され続けています。

 

打診調査の基本的な仕組み

 

建物の外壁(タイルやモルタル)は、コンクリートの躯体(くたい)の上に接着剤やモルタルで貼り付けられています。

 

新築時はガッチリと密着していますが、経年劣化によって接着力が弱まると、コンクリートと仕上げ材の間にわずかな「隙間(空気層)」が生まれます。

 

これが「浮き」と呼ばれる状態です。

 

打診調査では、テストハンマー(パールハンマー)や打診棒といった専用の道具で壁面を転がしたり軽く叩いたりします。

 

この時の「音の反響」を聞き分けることで、壁を壊さずに内部の状態を判定します。

 

イメージしてください

スイカを買う時、ポンポンと叩いて中身が詰まっているか確認しますよね? あるいは、壁の裏にある柱を探すためにコンコンと叩いた経験はありませんか? 原理はあれと全く同じです。

 

なぜ「音」で外壁の異常が分かるのか

 

熟練の調査員は、わずかな音の高低や響き方の違いを聞き分けます。

 

打診調査でわかる外壁の「浮き」と音の違い

 

 

️ 音で判断!健全な壁 vs 危険な壁

状態 聞こえる音(イメージ) 内部の状態と判定
○ 健全
キンキン / コツコツ

(硬く締まった高い音)

【問題なし】
コンクリートとタイルがしっかり密着している状態。
⚠️ 異常
ボコボコ / ポコポコ

(濁った低い音・反響音)

【補修が必要】
内部に空洞(空気層)ができている。
放置すると落下の危険あり。

 

この音の違いは、素人が聞いても明らかに分かる場合もあれば、微細な違いしか出ない場合もあります。

 

また、壁の厚みや材質によっても「健全な音」の基準が変わるため、調査員の経験と技術が非常に重要になります。

 

目視調査との違いと限界

 

「ドローンで撮影すれば分かるのでは?」「双眼鏡で見れば十分では?」と思われるかもしれません。

 

しかし、目視調査と打診調査は、その目的と分かることが全く異なります。

 

  • 目視調査(目で見る)
    • 分かること: 表面のひび割れ(クラック)、汚れ、タイルの欠け、シーリングの劣化など。
    • 限界: 「見た目は綺麗だが、裏側で剥がれかけているタイル」は発見できません。
  • 打診調査(音で聞く)
    • 分かること: 内部の浮き、剥離の予兆。
    • 限界: 表面の細かな汚れなどは対象外。

 

「見た目はピカピカのタイルが、ある日突然剥がれ落ちた」という事故の多くは、目視では発見できなかった内部の「浮き」が原因です。

 

だからこそ、物理的に叩いて確認する打診調査が不可欠なのです。

 

なぜ大規模修繕工事で打診調査が必要なのか

 

大規模修繕工事の主な目的は、建物の寿命を延ばすことと、居住者や第三者の安全を守ることです。

 

打診調査はこの目的を達成するための「診断」にあたります。

 

病院で手術をする前に、レントゲンや検査を行わずにいきなりメスを入れる医者がいないのと同じ理屈です。

 

外壁タイル・モルタルの「浮き」が起こる原因

 

なぜ、硬いコンクリートに貼られたタイルが浮いてしまうのでしょうか。

 

主な原因は、自然環境による過酷なストレスです。

 

  1. 熱伸縮(熱膨張)の繰り返し
    • 外壁は、夏の日差しで高温になり膨張し、夜間や冬場は冷えて収縮します。
    • コンクリートとタイル(またはモルタル)では、この膨張・収縮の比率が異なります。
    • 長年この動きを繰り返すことで、接着面にズレが生じ、やがて剥がれて「浮き」になります。
  2. 雨水の侵入と凍結融解
    • 微細なひび割れから雨水が侵入します。
    • 冬場、その水分が凍って膨張すると、内部から壁を押し広げる力が働き、浮きを発生させます。
  3. 地震や建物の挙動
    • 地震の揺れや、車の通行による微振動も、接着力を弱める原因となります。
  4. 施工時の不具合(施工不良)
    • 新築時の接着剤の塗り不足や、乾燥時間の管理不足などが、10年以上の時を経て顕在化することもあります。

 

特に築10年以上経過した建物では、これらの要因が複合的に作用しており、「どこかが浮いているのが当たり前」と考えるべきです。

 

浮き・剥離を放置した場合のリスク

 

外壁の浮きを放置することは、爆弾を抱えているようなものです。

 

  • 人身事故・物損事故
    • 高さ10メートルからタイルが1枚落ちてくるだけでも、当たれば大怪我、最悪の場合は死亡事故につながります。
  • 建物所有者の責任(工作物責任)
    • 民法第717条では、建物の瑕疵(欠陥)によって他人に損害を与えた場合、所有者がその損害を賠償する責任を負うと定められています。
    • 「知らなかった」では済まされない、無過失責任に近い重い責任です。

 

事故・クレーム・責任問題につながるケース

 

実際の修繕現場では、打診調査が不十分だったために起こるトラブルが後を絶ちません。

 

  • ケース1:工事中の落下
    • 高圧洗浄をかけた瞬間、浮いていたタイルが水圧に耐え切れず大量に落下した。
  • ケース2:工事後の追加請求
    • 「目視だけで見積もっていたが、実際に足場を組んで叩いてみたら、想定の3倍以上の浮きが見つかった」と言われ、工期延長と追加費用が発生した。
  • ケース3:施工後の剥離
    • 浮きを見逃したまま上から塗装をしてしまい、数年後に塗膜ごとごっそり剥がれ落ちた。

 

これらを防ぐ唯一の方法が、「足場を組んだ後に、全数打診調査を行うこと」なのです。

 

打診調査で分かること・分からないこと

 

打診調査は万能ではありませんが、外壁修繕においては最も確実なデータを提供してくれます。

 

何が分かり、何が分からないのかを明確にしておきましょう。

 

打診調査で判明する不具合の種類

 

調査員が壁を叩くことで、以下の症状を特定し、チョークやテープでマーキングしていきます。

 

  1. タイルの浮き
    • タイル裏面の接着モルタルが、下地コンクリートから剥離している状態。
  2. モルタルの浮き
    • 塗装の下にあるモルタル層そのものが浮いている状態。塗装のふくれとは別物です。
  3. エフロレッセンス(白華現象)の発生源
    • 雨水が内部に侵入している箇所周辺は、音が変化することが多く、水に濡れたような鈍い音がします。

 

これらの情報は、「どこに」「どの工法で」「何箇所」補修が必要かを決定する直接的な根拠となります。

 

打診調査だけでは判断できないケース

 

一方で、音だけでは判断が難しい領域もあります。

 

  • 内部鉄筋の腐食(錆び)具合
    • 鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し出している(爆裂)場合は分かりますが、初期の腐食は音では分かりません。
  • 雨漏りの複雑な侵入経路
    • 「どこが浮いているか」は分かりますが、「その水がどこから入って、どこへ抜けているか」までは特定できません。これには散水調査などが必要です。
  • シーリング材の劣化深度
    • シーリングの劣化は、触診や引張試験で判断します。

 

赤外線調査との違い・併用の考え方

 

近年増えている「赤外線サーモグラフィ調査」と「打診調査」。

 

どちらが良いのでしょうか?

 

結論は「適材適所」です。

 

どっちがいいの? 打診調査 vs 赤外線調査

項目 打診調査(ハンマー) 赤外線調査(カメラ)
精度・確実性 ◎ 非常に高い
(施工時に必須)
△ 条件による
(天候や角度に左右される)
コスト △ 高め
(足場設置が必要なため)
◎ 安い
(足場不要で短時間)
最適な場面 大規模修繕工事の本番
正確な補修範囲を決める時
定期報告・概算見積り
大まかな劣化を知りたい時

 

大規模修繕工事の本番(施工時)では、確実性を重視して「打診調査」を行うのが鉄則です。

 

一方、工事をするかどうか検討する段階や、法的な定期報告(特殊建築物定期調査)では、コストを抑えられる「赤外線調査」が有効です。

 

打診調査の具体的な実施方法と流れ

 

では、実際に現場ではどのように調査が行われているのでしょうか。

 

職人たちがどのような手順で建物を診断しているのか、その裏側を解説します。

 

使用する道具(シンプルだが奥が深い)

 

調査員は「七つ道具」とも呼べる腰袋を提げて足場に上がります。

 

  • テストハンマー
    • 先端に球状の金具がついたハンマー。転がすように壁を擦ると「カラカラ」と音がし、異音がある場所で「トントン」と叩いて確認します。
  • 打診棒(パールハンマー)
    • 指示棒のような伸縮する棒の先に、玉がついているもの。手が届かない高い場所や、広範囲をスピーディーに調査する際に使います。
  • マスキングテープ・マーカー・チョーク
    • 異常箇所をその場で壁に書き込むための道具です。
  • 図面・野帳(やちょう)
    • 発見した異常の位置と数量を記録するノートです。

 

調査の手順とチェックポイント

 

打診調査は、足場が組み上がった直後、補修工事が始まる前に行われる最初の工程です。

 

【STEP 1】足場上での全数調査

職人が足場に上がり、壁の隅から隅まで、文字通り「全て」の範囲を叩いて回ります。

「お、ここは音が軽いな」と気づいたら、その周辺を重点的に叩きます。

どこからどこまでが浮いているのか、その境界線を厳密に探ります。

10階建てのマンションであれば、そのすべての壁面が調査対象です。

 

足場上での全面打診調査

 

 

【STEP 2】マーキング(可視化)

浮いている範囲が特定できたら、その周囲をテープやマーカーで囲みます。

  • 赤テープ: タイルの浮き(注入が必要)
  • 黄テープ: 塗装の浮き
  • ×印: ひび割れや欠損

このように色分けをすることで、後から来る補修職人が一目で作業内容を把握できるようにします。

 

異常個所の特定とマーキング

 

 

【STEP 3】図面への落とし込みと集計

現場でマーキングした内容を、立面図(建物の図面)に書き写します。

「東面の3階部分に、0.5平米の浮きが3箇所」といった具合に集計し、最終的な補修数量を確定させます。

 

記録・図面化(数量確定)

 

 

調査の流れ(足場設置後)

STEP 1:全面打診(全数調査)
足場に上がり、職人が壁の隅々までハンマーで叩いて音を確認します。
▼
STEP 2:マーキング(可視化)
異常音があった箇所をテープやチョークで囲み、誰が見ても分かるようにします。
赤:注入必要 黄:塗装浮き など
▼
STEP 3:図面作成・実数精算
現場のマーキングを図面に落とし込み、正確な数量を集計します。
この結果をもとに最終的な工事費用が確定します。

 

調査結果はどのように報告されるのか

 

調査が終わると、管理組合やオーナー様へ報告書が提出されます。

 

これには以下のような資料が含まれます。

 

  1. 損傷図(劣化図)
    • 建物の図面に、どこが悪くなっているかが色分けでプロットされたもの。
  2. 数量表
    • 「ひび割れ:合計〇〇メートル」「タイル浮き:合計〇〇枚」といった具体的な数字。
  3. 写真台帳
    • 代表的な劣化箇所の写真。

 

この報告書こそが、「工事費用の最終決定」の根拠となります。

 

見積もり時の概算数量と、実数との差(増減)をここで調整(実数精算)することになります。

 

打診調査のタイミングと実施時期

 

「打診調査はいつやればいいの?」という疑問に対し、最も重要な「2つのタイミング」について解説します。

 

ここを混同すると予算オーバーの原因になります。

 

1. 見積段階の「概算調査」(足場設置前)

 

まだ工事業者を決める前、あるいは工事予算を組む段階で行う調査です。

 

この段階では足場がないため、以下の方法が取られます。

 

  • 地上からの目視・双眼鏡調査
  • 手の届く範囲(1階部分や廊下)の打診
  • 高所作業車や赤外線カメラによる部分調査

 

注意点:

これはあくまで「傾向」を見るための調査です。

「全体の5%程度が傷んでいるだろう」という推測(概算)でしかありません。

したがって、この段階の見積もり数量は確定値ではないことを理解しておく必要があります。

 

2. 工事開始直後の「本調査」(足場設置後)

 

工事契約が済み、足場を組み上げた直後に行う、今回の記事のメインテーマである調査です。

 

壁の目の前まで行けるため、100%正確な数量が出ます。

 

重要な流れ:

  1. 足場設置
  2. 下地補修のための全面打診調査(本調査)
  3. 実数に基づき、工事費用の増減を調整(変更契約や精算)
  4. 補修工事スタート

 

定期調査として行うべきタイミング(法的義務)

 

大規模修繕工事とは別に、建築基準法第12条により、一定規模以上の特殊建築物(マンションやビルなど)は、定期的な調査報告が義務付けられています。

 

  • 竣工から10年経過した建物
  • 外壁改修から10年経過した建物

 

これらのタイミングでは、「全面打診調査(または赤外線調査)」を行い、特定行政庁へ報告しなければなりません。

 

これを怠ると罰則の対象となるだけでなく、事故が起きた際の責任が極めて重くなります。

 

打診調査後に行われる補修・修繕内容

打診調査後に行われる主な補修・修繕内容

打診調査で「浮き」が見つかった場合、どのような治療(補修)が行われるのでしょうか。

 

代表的な工法を簡単に紹介します。

 

タイル外壁の補修方法

 

工法名 どのような時に選ぶか 作業内容
アンカーピンニング工法
(エポキシ樹脂注入)
タイルは割れていないが、
裏側が浮いている場合。
タイルの目地(隙間)に小さな穴を開け、接着剤(エポキシ樹脂)を注入し、ステンレスピンを挿入して壁に固定し直す方法。表面の見た目をあまり変えずに補強できる。
タイル張り替え工法 タイルが割れている、欠けている、
あるいは浮きが激しすぎる場合。
浮いているタイルをハツリ取って撤去し、新しいタイルを貼り直す。※既存タイルと同じものが廃盤になっている場合、似たタイルを探すか特注する必要がある。

タイルの浮き補修「アンカーピンニング工法」の仕組み

 

※外壁タイルの補修方法を詳しく知りたい方は、

こちらの記事も参考にしてください。

 

▶外壁タイル補修の方法と種類

 

モルタル外壁の補修方法

 

モルタル壁(塗装仕上げ)の場合は、浮いている部分に穴を開けて樹脂を注入する「アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法」が一般的です。

 

また、ひび割れ(クラック)に対しては、ひび割れ部分をU字型に削ってシーリング材を充填する「Uカットシーリング工法」などが行われます。

 

️ 異常が見つかった時の主な補修方法

アンカーピンニング
注入工法
【タイルは割れていないが浮いている場合】

タイルの目地に小さな穴を開け、接着剤(樹脂)を注入し、ステンレスピンで壁に固定し直す方法。
※見た目をほとんど変えずに補強できます。
タイル張り替え工法 【タイルが割れている・激しく浮いている場合】

悪い部分を剥がして撤去し、新しいタイルを貼り直す方法。
※廃盤タイルの場合は近似色を使用します。
Uカット
シーリング工法
【ひび割れ(クラック)がある場合】

ひび割れ部分を機械でU字型に削り取り、シーリング材(ゴム状のパテ)を充填して埋める方法。

※外壁ひび割れの補修方法を詳しく知りたい方は、

こちらの記事も参考にしてください。

 

▶外壁のひび割れ、種類別の補修方法について

 

補修範囲によって変わる工事内容

 

打診調査の結果、「浮き」が壁全体の何割を占めるかによって、方針が変わることがあります。

 

  • 浮き率 5%程度: 通常の部分補修で対応。
  • 浮き率 20%以上: 部分補修では追いつかない、または継ぎ接ぎだらけで見栄えが悪くなる可能性があるため、「外壁カバー工法」や「全面剥離後の再施工」など、より抜本的な改修案が提示されることもあります。

 

打診調査の費用目安と見積りの考え方

 

オーナー様にとって最も気になる費用の話です。

 

打診調査の費用は決して安くはありませんが、必要経費として捉えるべき理由があります。

 

打診調査の一般的な費用相場

 

打診調査の費用は、主に「調査する壁面積(平米数)」と「アクセス方法」によって決まります。

 

  • 大規模修繕工事の一環として行う場合(足場あり)
    • 単価:150円 〜 300円 / ㎡ 程度
    • すでに足場があるため、調査費用自体は比較的安価に抑えられます。
  • 調査単体で行う場合(足場なし)
    • この場合、調査のための足場代、高所作業車代、あるいはロープアクセス(ブランコ)技術料が加算されます。
    • ロープアクセスの目安:300円 〜 600円 / ㎡ + 諸経費
    • 赤外線調査の目安:200円 〜 500円 / ㎡ + 解析費

 

※これらはあくまで目安であり、建物の形状や立地条件により変動します。

 

見積書で確認すべきポイント

 

大規模修繕の見積書を受け取ったら、以下の項目を必ずチェックしてください。

 

  1. 「下地補修調査費」が含まれているか?
    • これが含まれていないと、工事が始まってから「調査費は別途です」と言われるトラブルになりかねません。
  2. 数量算出の根拠は何か?
    • 「一式」ではなく、対象面積が記載されているか確認しましょう。
  3. 実数精算(じっすうせいさん)の契約になっているか?
    • 重要: 多くの工事契約では、「見積もり時は仮の数量(予備費含む)で計上し、打診調査後に確定した数量で最終金額を増減する」という実数精算方式が採用されます。
    • この方式になっているか、契約前に必ず確認してください。そうでないと、「思ったより補修箇所が少なかったのに、安くならなかった」という不利益を被る可能性があります。

 

打診調査でよくあるトラブル・注意点

 

最後に、失敗しないために知っておくべき注意点をお伝えします。

 

調査範囲が曖昧なケース

 

「外壁調査」と一口に言っても、業者によって認識が違うことがあります。

 

A社は「手の届く範囲だけ」、B社は「全面調査」で見積もっているかもしれません。

 

金額だけで比較せず、「どの範囲を、どのような方法で調査するのか」を確認してください。特に「全面打診」か「抜き取り(一部)調査」かの違いは大きいです。

 

業者によって判断が違う理由

 

打診調査は人の感覚に頼る部分が大きいため、調査員によって判断が割れることがあります。

 

  • 厳しい検査員: 「少しでも怪しい音は全てNG」→ 補修費が高くなるが、安全性は高い。
  • 甘い検査員: 「これくらいなら大丈夫」→ 補修費は安いが、数年後に剥落するリスクが残る。

 

信頼できるのは、「なぜここをNGとしたのか」を現地で実際に音を聞かせて説明してくれる業者です。

 

不明点があれば、遠慮なく「私にも音を聞かせてください」と頼んでみましょう。

 

管理組合・オーナーが注意すべき点

 

打診調査の結果(劣化図)が出てきたら、必ず目を通してください。

 

「専門的なことは分からないから任せる」のではなく、「南側の壁に浮きが集中しているな」「想定より劣化が進んでいるな」といった事実を共有することが重要です。

 

これが、修繕積立金の使い道に対する納得感や、次回の修繕計画の見直しに役立ちます。

 

まとめ|打診調査は安全と修繕品質を左右する重要工程

 

打診調査について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

打診調査は、単に壁を叩いているだけの作業ではありません。

 

建物の「隠れた病巣」を見つけ出し、適切な治療を行うための、絶対に欠かせない診断プロセスです。

 

  1. 安全性確保: タイル落下事故を防ぎ、オーナーの法的責任を守る。
  2. 品質確保: 必要な箇所を確実に補修し、建物の寿命を延ばす。
  3. 適正コスト: 劣化状況を正確に把握することで、無駄な工事や不当な追加請求を防ぐ。

 

大規模修繕工事を成功させるためには、この「音による診断」の価値を正しく理解し、適切な調査を行うことが第一歩です。

 

「費用がかかるから調査は適当でいい」とは考えず、「安心を買うための必要経費」として、しっかりとした調査を実施することをお勧めします。

 

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会社概要

  • 会社名:株式会社 幸成
  • 所在地:〒202-0023
    東京都西東京市新町5丁目9-15
  • フリーダイヤル:0120-966-128
  • TEL:042-238-9159
  • FAX:042-238-9158
  • E-MAIL:info@nm-kosei.com
  • 設立: 昭和62年6月
  • 建設業許可:東京都知事許可
    (般-24)第139024号
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