※本記事は2026年1月1日に最新情報へ更新しています。

マンションやビルのオーナー様、管理組合の理事様から屋上防水工事についてご相談を受ける際、最も多く耳にするのは次のような言葉です。
「とりあえず雨漏りが止まればいい」
「今の修繕積立金が厳しいから、一番安い方法で頼みたい」
大規模修繕工事は多額の費用がかかるため、少しでも出費を抑えたいと考えるのは当然のことです。
しかし、多くの現場を見てきた防水のプロとして、お伝えしたいことは防水工事の「本当のコスト」は、工事が終わった瞬間ではなく、10年後、20年後の「次の改修」の時に判明します。
今、目先の安さだけで工法を選んでしまうと、次回の改修時に「撤去費用で数百万円が余計にかかる」「廃材処分に莫大な手間がかかる」といった事態に陥りかねません。
この記事では、なぜ「ウレタン防水」が将来の改修工事(リニューアル)において「最も負担が少ない賢い選択」と言われるのか。その理由を、長期的なコストシミュレーションや技術的な裏付けを交えて徹底解説します。
【この記事の目次】
まず大前提として、建物が存在する限り、屋上防水は定期的な更新が必要です。屋上は、建物の中で最も過酷な環境にさらされ続けているからです。
どんなに高価で高性能な防水を行ったとしても、これらのダメージを受け続けることで、10年〜15年程度で必ず寿命を迎えます。
建物を50年、60年と維持していく場合、防水工事は以下のように繰り返されます。
【新築時】 防水施工
↓
【10〜15年目】 1回目の改修工事
↓
【25〜30年目】 2回目の改修工事
↓
【40〜45年目】 3回目の改修工事…
ここで重要なのが、「1回目の改修で何を選んだか」が、「2回目の改修」の難易度と費用を決定づけるという事実です。

「前回工事したときは安く済んだのに、今回の見積もりはなぜこんなに高いんだ!?」
2回目以降の改修工事で、このようなトラブルになるケースは後を絶ちません。
その最大の原因は、劣化して使えなくなった「既存防水層の撤去(剥がし)」が必要になるからです。
もし、次回の工事で「今の防水層をすべて剥がさなければならない」となった場合、以下のようなデメリットが発生します。
| リスク項目 | 具体的な内容とデメリット |
|---|---|
| ① 莫大な処分費 | 剥がした防水材は「産業廃棄物」です。近年の処分費高騰により、撤去・処分だけで工事費の2〜3割を占めることも珍しくありません。 |
| ② 騒音・振動 | 機械を使って古い防水層を削り取るため、ドリル音や振動が建物全体に響き渡ります。マンションやオフィスビルではクレームの元凶となります。 |
| ③ 雨漏りリスク | 工事期間中、一時的に防水層がない「裸の状態」になります。この期間に不意の豪雨があると、直下階へ深刻な漏水を引き起こすリスクがあります。 |
| ④ 下地の損傷 | 無理に剥がすことでコンクリート下地自体を傷つけてしまい、その補修費用(樹脂モルタル等)が追加で必要になることがあります。 |
つまり、「次回、剥がさなくて済む工法」を選ぶことこそが、将来の出費を抑える最大の鍵なのです。
ウレタン防水の最大の特徴は、「既存の防水層を撤去せず、その上から被せて施工する(重ね塗り)」への適性が極めて高いという点です。
これを専門用語で「オーバーレイ工法」や「被せ工法」と呼びます。
なぜウレタン防水は重ね塗りが得意なのでしょうか?
シート防水(ゴムや塩ビ)は「既製品のシート」を貼るため、下地が平らでないと密着しません。
古い防水層が波打っていたり、劣化して凸凹している上から新しいシートを貼るのは技術的に困難です。
一方、ウレタン防水はドロドロとした「液体」です。下地に凹凸があっても、隙間に入り込んで一体化するため、古い防水層の上からでも強固な防水層を作ることができます。
重ね塗りをする際、気になるのが「重さ」です。
古い防水層を残して新しい防水層を作るため、屋上の重量は増えます。
アスファルト防水などを重ねるとかなりの重量になり、耐震性に影響が出る可能性がありますが、ウレタン防水は非常に軽量です。
何層か塗り重ねても、建物への構造的な負担はほとんど無視できるレベルです。

これが最も技術的なポイントです。
古い防水層を残すと、その中に「水分」が閉じ込められることがあります。
この水分が蒸発して膨張すると、新しい防水層を押し上げて「フクレ」の原因になります。
💡 通気緩衝工法の仕組み
穴の空いた特殊なシートを一枚挟むことで、下地に含まれる水蒸気を逃がす「通り道」を作ります。集まった水蒸気は「脱気筒(だっきとう)」と呼ばれるステンレスの筒から外部へ排出されます。
この技術のおかげで、古い防水層の上に水分が残っていても、安全に上からウレタン防水を施工できるのです。
▶防水工事で人気のウレタン防水|密着工法・通気緩衝工法を比較
では、代表的な防水工法を「次回の改修のしやすさ」という視点で比較してみましょう。
| 工法名 | 次回改修時の対応 | メリット・デメリット | 改修適性 |
|---|---|---|---|
| ウレタン防水 | 原則、重ね塗りでOK
(撤去不要) |
廃材が出ず、騒音も少ない。コストを大幅に抑制可能。下地の水分対応も可能。 | ◎ |
| シート防水
(ゴム・塩ビ) |
撤去が必要な場合が多い
または機械固定での被せ |
シートが硬化・変形していると、上から貼れないため撤去必須。撤去費がかさむ。 | △ |
| アスファルト防水 | 重ねると重くなりすぎる
撤去が非常に困難 |
新築時の信頼性は高いが、改修時の撤去は最強クラスの騒音と費用がかかる。 | △ |
| FRP防水 | 重ね塗り可能だが
広い屋上には不向き |
硬く割れやすいため、木造住宅のベランダには良いが、マンション屋上には不向き。 | ◯ |
このように比較すると、ウレタン防水が「改修(リニューアル)工事の優等生」であることがよく分かります。

「でも、ウレタン防水はシート防水に比べて耐久性が低いんじゃないの?」
そう思われる方もいるかもしれません。確かに、1回あたりのカタログ上の耐用年数はやや短い傾向にあります。
しかし、メンテナンスのしやすさを含めた30年間のトータルコスト(ライフサイクルコスト:LCC)で見ると、結果は逆転することが多いのです。
以下は、30年間にかかる費用の概念的なシミュレーションです。
※金額はあくまで比率を表すイメージであり、実際の建物規模や見積もり額とは異なります。
ウレタン防水は、数年おきに一番上の保護塗料(トップコート)だけを塗り替えることで、防水層本体(ゴムの層)を紫外線から守ることができます。
このこまめなメンテナンスを行うことで、大規模な工事のサイクルを延ばし、結果的にトータルコストを安く抑えることができるのです。
公平な視点のために、ウレタン防水の弱点や、よくいただく質問についても正直にお答えします。
A. 「職人の腕」に品質が左右されやすい点です。
ウレタン防水は現場で液体を混ぜて塗るため、厚みの均一さや混合比率の管理など、職人の技術力が品質に直結します。実績の少ない業者に頼むと「厚みが足りない」「硬化不良」といった問題が起きる可能性があります。必ず施工実績が豊富な専門業者を選定しましょう。
A. はい、可能です。
ウレタン防水は隙間なく密着するため、雨漏り修理に非常に適しています。ただし、下地コンクリートの中に水が多く含まれている場合は、単純に塗るだけではフクレてしまいます。「通気緩衝工法」を採用し、脱気筒を適切に設置することで、雨漏りを止めつつ将来のフクレも防止できます。
A. 可能です。
通常のウレタン防水は柔らかいですが、歩行用としての強度を持たせた仕様があります。また、トップコートに滑り止めのチップを入れることで、雨の日でも滑りにくく安全な床面に仕上げることができます。
防水工事の見積もりを比較するとき、どうしても「今の金額」だけに目がいきがちです。
しかし、建物を長く守るオーナー様にとって本当に大切なのは、「10年後、20年後の改修時に、いかに無駄な出費とストレスを減らせるか」という視点です。
「ウレタン防水は次回改修が楽になる」
この言葉の意味は、単に工事が簡単になるということだけではありません。
「将来発生するはずだった数百万円の無駄なコストを、今のうちに削減する投資」であると言えます。
もし、現在雨漏りにお悩みの方や、そろそろ屋上の防水工事を検討されている方がいらっしゃいましたら、ぜひ「次回の改修」まで見越した提案をしてくれる業者にご相談ください。
目先の安さではなく、建物の生涯コストを見据えた賢い選択が、あなたの資産価値を守ることにつながります。
【監修・執筆】
大規模修繕・防水工事のプロフェッショナル
一級防水施工技能士・建築施工管理技士。
これまでに500棟以上のマンション・ビル屋上防水改修に携わる。「建物を長持ちさせる防水」をモットーに、オーナー様の将来の負担を減らす提案を得意とする。
※本記事は一般的な防水工法の特性について解説したものです。建物の既存状態や構造によっては、ウレタン防水以外の工法が適している場合もございます。最適な工法の選定には、専門家による現地調査をお勧めいたします。
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